遠くから見つめるということ

昔から「物語」が好きでいろんな小説を読んだり
映画を見た。

大人になってからも、新書やノウハウ本よりも、
物語の方が好きで、
それは自分にとって、物語の方が、
より理解してくれて、色々教えてくれるものに
感じられたから。

直接的に触れてくるときよりも、
物語というものを通ってからのが、
すんなり心に入ってくる。

時間が経ったときに、ふとした場面で、
物語のある場面を思い出して錯覚を起こしたり、
物語とは全く異なるシチュエーションに
置かれて、やっと理解できた、と思う時の
幸せよ。。
***
夏は、ロサンゼルスが舞台のことが多い、
フィリップマーロウシリーズ。
出てくる植物の描写が生き生きしていて、
太陽がカラッとしている、最近の日本には
あんまりない感じの夏。

秋も深まってきた時には、枯葉を踏みながら、
よしもとばななのデッドエンドの思い出を。

冬は、北海道のドルフィンホテルが出てくる
「文化的雪かき」

※春は一年で一番苦手なのでパス🌸

友達のかけがえのなさを思うときは
アリ・スミスの秋。

愛について悩んだ時は、

自分と他者の境界について考える時は
ポールオースターのニューヨークトリロジー
※特にガラスの街が好き

ものすごく重くのしかかってくる夜が
耐えられないこんな時は、
須賀敦子の本に出てくる景色を思い浮かべる。

「昼下がりの風がレモンの葉裏をゆっくり吹きぬけると、濃い緑のところどころが季節はずれの淡い黄色で染め抜かれた木立にかすかなざわめきが走る。見上げると、光が乱反射して暗さを感じさせるほど青い7月の空のきれはしが、ちらちらと葉の間に揺れている。」
(「アスフォデロの野をわたって」より)。

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