光る産毛


所用で京浜東北線に乗って、

北に向かった。


途中、女子高校生が電車に乗ってきて、

ドアの前に立った。

熱心に携帯を見ているその子の、

こめかみの産毛が光に透けて、

チラチラと光っていた。


この子は青春の真っ只中にいるんだな、

と、

ふと懐かしい気持ちになる。

そして桃を思い出す。


***

よく男の人のまつげを見てしまう。


マスカラやマツエクがないのに、

まっすぐしっかりと生えていて、

羨ましいと思う。


量が多い人を見ると、

牧場にいる牛を思い出す。

日が当たると、

頬の高いところに影ができて、

いい感じ。


まつげが細い人も、

俯くと思慮深く儚く見えて、

それもまたいい。


***


桃も牛も人も、

産毛もまつげも。