木曜日の夜明け

1週間の中で1番静かなのは木曜日の夜中らしい。


今は空が白んできて、

鳥が遠くで泣いてるのが聞こえて、

すごくいい独りの時間。


***

勉強しなければならない、

個人的な理由により、

最近手で計算問題を解くのだが、

計算をしていると、

頭の中でパズルがハマっていく。

自分が1とか32とか、数字の中で
生きているという感覚。

なんだか宇宙のことを想像するときに似ていて、
だから宇宙は物理学なのかというのが、
感覚でわかる喜び。

中に中に、ではなく、外に外に
自分自分ではなく、他人に。
***

いつも5月は寝不足だけど、
夜の中でもステップ踏んでたいわ。

光る産毛


所用で京浜東北線に乗って、

北に向かった。


途中、女子高校生が電車に乗ってきて、

ドアの前に立った。

熱心に携帯を見ているその子の、

こめかみの産毛が光に透けて、

チラチラと光っていた。


この子は青春の真っ只中にいるんだな、

と、

ふと懐かしい気持ちになる。

そして桃を思い出す。


***

よく男の人のまつげを見てしまう。


マスカラやマツエクがないのに、

まっすぐしっかりと生えていて、

羨ましいと思う。


量が多い人を見ると、

牧場にいる牛を思い出す。

日が当たると、

頬の高いところに影ができて、

いい感じ。


まつげが細い人も、

俯くと思慮深く儚く見えて、

それもまたいい。


***


桃も牛も人も、

産毛もまつげも。

艶々と


スナップエンドウが冷蔵庫にあったので、

シンプルに塩茹でしようと思った。


沸騰したお湯に入れた後に気がつく、

筋取りを失念。


調べてみると、スナップエンドウ

筋は裏と表、両方取るといいらしい。


仕方がないので、

茹でたての柔らかいスナップエンドウに、

包丁を立てて、

スーッと筋を剥がしていく。


筋と一緒に薄皮が取れると、

スナップエンドウの表面がツヤツヤと光る。


***

independent のネット記事を読んでいたら、

民族多様性、フェミニズムなどの

記事で溢れていた。

結局今の問題点を指摘するばかりで、

どうすればいいのかという意見は、

なかなか見えづらい。

指摘というのは、表れ方・書き方はどうであれ、なかなかにきつい。

自分の理解力の浅はかさに嫌気がさした。



スーパーに行きレジ待ち。

俺は忙しいのになんで並んでるんだ、

と文句を言いながら複数の

レジを彷徨っている人がいる。


わたしの後ろは誰もいなかったので、

お先にどうぞ、と言ったら、

2回もお礼を言われた。

怖い人でなくてよかった。


1つ1つ自分にできる善いことを、

大なり小なりやっていけば、

醜い争いも、

いつかなくなるんだろうか。

***


そんなことを思いながら、

ツヤツヤのスナップエンドウが入ったケースに、

そっと蓋をする。

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聴く音楽


帰路に、近所の学校の校庭に植っている

桜が八分咲きくらいで、

さらさら音を立てていた。


しばらく眺めていたときに、

昔、弟が話していたことを思い出した。


「最近音楽聴かないで、

 夜の音を聞きながら帰るんだ」


まだ地元にいたときのことだから、

きっと田舎の夜の音で、

遠くから聞こえる車の往来の音と、

虫の鳴き声。




早く、

散る前の桜をもっと味わいたいって、

焦るばかりだけれど、

さらさらという音に、

大丈夫だって言われた気がした。



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残るもの残らないもの


 

桜が咲き始めて、大人も子供も楽しそうに桜の写真を撮ったり、

眺めたり。

万人にとっての喜びっていうのはいいですね、春。

 

あまり春は得意じゃないけれど、

街行く人が嬉しそうなので、こちらも嬉しくなる。

喜びのお裾分け。

 

***

雑誌「GINZA」の千葉雅也さんと朝吹真理子さんの対談が、

とっても興味深く、

特にデータで残っていない文化について触れているところに、

納得してしまった。

 

 

データに残らない流行というのは、不思議。

 

私が十代のときは、男の子がピンクを着たり、

ヘアピンやヘアゴムで前髪を縛るのが流行っていた。

 

 

学生時代の制服のカスタム(スカートを短くしたり、

腕のボタンと襟の第一ボタンはあけて、

ローファーはかかとを潰して履く。肩掛けかばん無理やりしょっていた)

は、セブンティーンとかに載っていたのを記憶しているが、

そもそもあの崩し方をだれがどうやって考えたのだろう。

 

そしてそれも紙媒体がもとになっているものだと、

もうデータとして読むことができないのかと思うと少し悲しい。

 

***

いまは女の子がボーイッシュな服を着るのが流行っているけれど、

昔は男の子が細身の服や、ピンク色を身に着けるのが流行っていたと思うので、

この逆転というのがどうゆうものの現れなのか気になる。

***

 

SNSで残るファッション・流行も便利だけれど、

昔のものはこのような形で残らないので、

頭の片隅に大事にとっておこうと思う。

 

 

 

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